イタリア旅行38 ダリオ・チェッキーニのオッフィチーナ・デッラ・ビステッカで謝肉祭

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さて、午後6時半です。お夕飯の時間です。
念願の、わざわざ車を借りてまでこの村まで来た最大の目的地へと今から向かいます。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
パンツァーノ村1の肉屋の親父、ダリオ・チェッキーニさんのレストランです。

未だに看板として街に建っている【Mac Dario(マックダリオ)】が店の名前なのか、このでかでかと書かれた【Officina Della Bistecca(オッフィチーナ・デッラ・ビステッカ/=ビーフステーキ事務所)】が店名なのか、自信がない。
多分、オッフィチーナ・デッラ・ビステッカなような気がします。マックダリオはまた別の店の名前なのかも。

そしてなんでここに来るのにレンタカーが必要なのかと言うと、この村には電車が通っていないからです。
でも一応フィレンツェからのバスはあるらしいです。
ただしネット上で時刻表を調べてみれば、どうやらこことフィレンツェを結ぶ終バスはかなり早く、ランチだったらバスでも可能ですがディナーを食べるとなればどうしてもレンタカーが必要となってしまうのです。

また、ここのお店は日本でもそこそこ知名度があり、イタリアのオプショナルツアーを運営しているサイトでここへ行ってご飯を食べようというツアーをいくつか確認しています。
最初は飲兵衛でないとはいえ姉1人にアルコールを与えず、代わりに運転を押しつけるというのも申し訳なかったため、おとなしくこのツアーに参加しようかとも思ったんですが、このツアー、何せ高い。
5人で申し込んだ場合の料金を計算してみたら、割り勘で車を1日レンタルした方が値段が半額ぐらいに押さえられる事が分かり、結局当初の予定通り姉の運転で向かう事が決まったのです。
もしも1人、あるいは2人旅行ぐらいの規模ならツアーでも良いかもしれません。

それとツアーの利点としては予約を代行で取ってくれると言う事。
このお店、世界的に有名な割にはネット予約等を行っておらず、そのくせ相当前から席が埋まってしまうと言われていたため、現地に向かう実に1カ月前にわざわざ日本から国際電話をかけて予約をする羽目になってしまいました。
あの時の電話代いくらだったんだろう……。

なので現地のお店まで左ハンドル車のマニュアル運転&イタリア語での事前電話予約という3重苦と、パッケージツアーの料金を天秤にかけてみて、自分の中で勝った方のやり方でこのお店にたどり着けば良いと思います。
あるいはバスを使ってランチに行くか。

まあでもレンタカー自体は色々便利ですよ。好き勝手な所に行けますし。運転してたの私じゃないですけど。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
さあて、じゃあ行きましょうか。

ここのお店はディナーの時間指定を客の自由にはできず、予約をすると『19:00の回か21:00の回か~』というような選択肢が与えられ、その時刻になったら予約をした客がゾロゾロどやどやお店に入り、全員一度にテーブルについて一度に料理を食べ始めるといったスタイルなんだそうです。
なんと言ったら良いんでしょう。『お誕生日会スタイル』?

そして良い意味でも悪い意味でも素朴過ぎる村を見渡し尽くして手持無沙汰全開だった我々。開場時刻と同時に一番乗りでお店へと入りました。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
するとまっさきに目に飛び込んできたのはこんな光景。

貴族の集会かはたまた山賊の祭りにでも使われそうな長~いテーブルに、等間隔に置かれた皿やグラス。2リッターは入ってそうなキャンティ地方伝統のフィアスコボトルに詰まっている大量のワインたち。
籠に無造作に盛られた野菜の鮮やかさに目を奪われ、さらにその奥へと歩みを進めると、


ダリオ・チェッキーニ マックダリオ

テーブルの中央にででんと置かれた肉の塊たち。

この大きさ。この厚み。そしてこの量。思わず漫画の世界かと疑ってしまうような光景です。
この肉塊を、午後の7時に召集をかけられたお客数十人で食べつくす予定なんです。

ダリオ・チェッキーニ マックダリオ
ああ、こんな美しいお肉見た事ない……。


そう、ここはもはやパンツァーノ村なんかではありません。ココは肉を崇め、食す聖なる地。たった今から世にも高貴な謝肉祭が始まるのです。


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時間が来て続々と集まる今回の謝肉祭に集いしメンバーたち。

一つの部屋に、ギュウギュウに詰めて25人~30人といった所でしょうか。もちろん問答無用で全員相席です。
そしてメニューも選べません。

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今日のコースはこちら。全員が同じ物を同時にワイワイ食べるのです。
まさにお誕生日会感覚。イベント感も満載です。
さらにこのコースメニューを見てみると、流石肉屋のレストラン、清々しいまでに肉以外の料理が存在しません。
最初から卓上に添えられていた野菜たち、アレをお通し変わりにちょいとつまんだら、後は怒涛の肉肉アンド肉です。

ダリオ・チェッキーニ マックダリオ
さあそんなわけで始まりました謝肉祭。一品目は『牛肉のタルタル』。

日本では昨今生牛肉は商品として出せないため、最初から感涙物の貴重な一品です。
赤身の締まったタルタルにきっつい岩塩をまぶして食べる。のっけからワインのお供にベストな味です。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
最初のタルタル以降、店のウェイターさんたちはこの長いテーブルの周りを忙しそうに移動しながら、次から次へと肉を運んで来てくれます。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
二点目はグリルされた肉。
と言うかこれ以降ずっとグリルされた肉。あらゆる部位のグリルされた肉しか出てきません。
ですがこのセコンドの品として出て来た肉。部位としてはお腹の辺りとか言っていたので、『牛バラ』という事になるんでしょうか。
これが今まで食べた事の無いような肉の味でした。
味と言うか、食感というか舌触りが初体験。まるでシルクを口に含んだのかと思う位、お肉がしっとりとなめらかだったんです。
これはカルチャーショック。
脂身の殆どないその味わいも、確かに肉ばかりのコースの中で言えば軽めの二品目かと思えるような感じでした。

ダリオチェッキーニ マックダリオ
我々が美味しいお肉に我を忘れている間にも、部屋の真ん中では『カマドの神』みたいな大男が、炭がゴウゴウ燃える前に仁王立ちして肉を焼き続けています。
そうです、ここでは肉を焼くその行為さえも神事の一環。
お腹を空かせた30人の老若男女を目の前に、このカマド神は凄い気迫でもって巨大な肉塊と格闘し続けます。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
そして焼き上がった肉はすぐさま我々の元へ。

こちらはリブロースとの事。同じ牛の肉なのに、こうして食べ比べると驚くほど味の違いが分かります。
先程のお腹肉に比べてジューシーさもあり、「肉らしい肉の味」といった感じでしょうか。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
肉と肉の間にわずかにめぐまれた『トスカーナ豆のオリーブオイルスープ』。
お肉自体の味つけは極めてシンプルなため、一品一品がガッツリしているわけでは無いのですが、それでもこうして野菜を食べるとすっと口がリセットされます。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
さらにこちらは炭窯で焼かれたジャガイモ。
これを【Burro di chianti(=キャンティ地方のバター)】をたっぷりつけて召し上がれと言われたのですが、いざその『バター』をもらってびっくり。
それは乳牛から取れたミルクを加工したものではなく、バターのように煮詰めて固めた牛の脂でした。
なるほど……、さすが肉祭り。牛乳なんて邪道です。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
なんて肉の合間の休憩を取りながらカマドを見ていたら、カマド神の焼く肉が明らかにクライマックスを匂わせる物に……。

これ、このまま焼くんだ。凄い。一つの塊が広辞苑よりも厚く大きそうです。
この祭りのハイライトが焼き上がって行く景色を眺めながら、すっかり肉に魅せられた客たちのボルテージはどんどん高まっていきます。
するとそこに、サッカーのサポーターが鳴らすようなけたたましいサイレンを鳴り響かせながら登場した男が1人。


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出た!肉の神、牛の申し子、ダリオ・チェッキーニ!

セルフサービスで手持ちの太鼓やらをドンドコ叩きながら、肉にとりつかれた客人たちに次々サムズアップをビシィッ!と決めて行きます。
神がおこしになられた。この祭事のハイライトも直ぐそこだ。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
肉の神の降臨が合図だったのか。とうとう焼き上がった超巨大ステーキがここに誕生。

大男のカマド神はその巨大な塊を両手に持つと、「コレがワシらの誇るビステッカ・アッラ・フィオレンティーナじゃーー!!」と高らかに宣言。
湧きあがる歓声。弾けるフラッシュの波。誰からともなく口をついて出る「肉!肉!肉!」の大合唱。
これを祭りと言わずになんと言おう。
肉を中心に湧きおこるこの一体感。肉汁にまみれたうっとりするようなグルーヴに酔いしれながら、全員で我先にと肉にかぶりつきます。

ダリオチェッキーニ マックダリオ
夢見心地で肉を口に運んでいた父の元へ、ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ(フィレンツェ風Tボーンステーキ)のボーンの部分もプレゼントされました。
これがまた切られた肉以上に美味しい所。
巨大な骨を両手で掴んでしゃぶりつくと、なんともジューシーで肉の旨みぎっしりな味を楽しめます。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
ああ、美味しい。お腹一杯。こんなに肉を食べ続けたのは初めてだ。


元からこのトスカーナ地方は酪農も盛んで、この地方に来れば夕飯は大体肉料理になるのですが、
とは言えこんな奇妙で刺激的な肉の食べ方をしたのは初めてでした。
全員で着席して全員で肉を食べ、隣の人とワインを回しあってワイワイガヤガヤと騒ぎ立てる。
肉が焼けた事を拳を突き上げて喜ぶなんてそうそうない体験です。

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長く荒々しい神事はようやく終わりを迎え、デザートはオリーブオイルのケーキで一息入れます。


このディナー、もとい謝肉祭。トスカーナワインをコレだけ飲んで肉をコレだけ食べて(写真は一口サイズずつですが、アレが何度も来ます。ストップ掛けるまで止まりません)、それでお値段50ユーロ。
ワインの美味さ、肉の品質、種類、ボリューム。そして何よりアトラクションばりにドラマティックな肉の世界の中での食事…と考えれば、個人的には相当破格だと思います。
我が父なんかは「殆どタダみたいなもんだ!」と叫んだ程です。


14 イタリア旅行 (1716)_R
立地条件の悪さ、予約の取りにくさが相当なネックではありますが、それをもって余りある程、ここでのディナーは価値があると思います。

皆さんもぜひ、フィレンツェおよびトスカーナ州の何処かに来た際には、ここでのディナーにチャレンジしてみても良いんではないでしょうか。


p.s.
最後に一つ、チェッキーニ氏の前衛的過ぎるオブジェたちは村の周りだけではなく店の中にもありました。
ダリオチェッキーニ マックダリオ
中でも一番度肝を抜いたのは、『肉色』のタイルを敷き詰められたトイレの上部に飾られた、チェッキーニ氏のモザイクアート。


ダリオチェッキーニ マックダリオ
「赤身を称えよ。脂身を褒めよ(by肉の神)」

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Officina Della Bistecca(オッフィチーナ・デッラ・ビステッカ)/あるいはMAC DARIO(マックダリオ)
住所 Via XX Luglio, 11, Panzano in Chianti Firenze,Italia
電話番号 +39 055 852020
http://www.dariocecchini.com/home/
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